中洲の雑居ビル2階に静かに佇む「カフェテラス 樹樹」は、福岡の純喫茶文化を語る上で欠かせない一軒だ。明治通りに面した緑の看板が目印で、中洲川端駅から徒歩わずか2分という便利な立地にありながら、観光客の喧騒とは一線を画した落ち着いた時間が流れている。中洲といえば夜の繁華街というイメージが強いが、この店は日中から営業しており、昼間に訪れると別世界が広がっていることに気づく。階段を上って2階へと進むと、昭和の空気感が一気に押し寄せてくる。
店内の雰囲気こそが最大の魅力である。広々とした店内には、年季の入ったテーブルと椅子が配置され、壁には懐かしい看板や装飾品が控えめに飾られている。決して豪華ではないが、その素朴さこそが逆に心地よい。朝の光が差し込む昼間帯には、読書をする常連客や、ゆっくりと時間を過ごしたい旅行者の姿が見られる。夕方から夜間にかけては、飲み歩きの前後に立ち寄るサラリーマンや地元民の休憩場所として機能し、その表情を変えていく。店員さんとの自然な会話が生まれるのも、純喫茶ならではの醍醐味だ。
コーヒーは一杯ずつ丁寧に淹れられ、深い焙煎ながらもすっきりとした飲み口が特徴である。濃すぎず、飲み疲れない仕上がりは、長居する常連客が多い理由を納得させるに十分だ。メニューはコーヒーを中心としたシンプルな構成で、余分な装飾がない。価格帯も手頃で、手軽に立ち寄れるのが嬉しい。時にはフルーツのサービスが供されることもあり、季節や気分で店の表情が変わる。こうした心遣いが、多くの常連客に愛され続けている理由なのだろう。
中洲エリアを散歩する際の立ち寄りスポットとして、この店は極めて優秀だ。朝の散歩時に立ち寄ってコーヒーで目を覚ますもよし、昼間に街を歩き疲れたときの休憩地点とするもよし、夜の飲み歩きの合間にひと息入れるもよし。どの時間帯に訪れても、この店は旅人と地元民の両方に等しく落ち着きの時間をもたらしてくれる。周辺には中洲の歴史的建造物や飲食店が点在しているため、街歩きの起点または終点として機能させるのが効果的だ。福岡の都市的な側面と懐かしさが同時に存在する中洲という場所で、この純喫茶は時間の流れ方が異なる空間を提供している。
最寄り駅は中洲川端駅で、徒歩2分の距離に位置する。