警固本通りの静かな角に佇む喫茶カヤは、2023年10月に開店したばかりとは思えないほど、すでに福岡の純喫茶ファンの間で知られた存在だ。店名の由来となった「Come As You Are(あなたのままでおいで)」という言葉が、この店の本質をすべて物語っている。仕事帰りのサラリーマンも、休日の散歩者も、一人で静かに本を読みたい人も、友人との会話を楽しみたい人も──誰もが気負わず足を踏み入れられる空間として設計された、そんな場所である。
カウンター6席という限られた座席は、一見するとデメリットに思えるかもしれない。だが実は、この制約こそが喫茶カヤの最大の魅力を生み出している。狭い空間だからこそ、店主との距離は必然的に近くなり、コーヒーの抽出方法や豆の産地について、さりげなく、そして自然な流れで会話が始まる。大型チェーン店では決して得られない、人間的なやり取りがここにはある。店主のコーヒーへのこだわりは本物で、ハンドドリップとフレンチプレスの2種から選べるコーヒーは、豆の特性を活かした丁寧な淹れ方で提供される。一杯のコーヒーが、その日の時間を静かに豊かにしてくれるような仕上がりだ。
メニューは純喫茶の定番をしっかり押さえながらも、現代的な丁寧さで作り上げられている。昔懐かしいクリームソーダは、見た目も美しく、飲む瞬間のわくわく感を大切にした仕上げ。自家製プリンは濃厚な卵の風味と、ほどよい甘さのバランスが秀逸で、懐かしさと新しさが同居している。そして分厚いホットケーキは、ふんわりとした食感を実現するため、焼くタイミングから火加減まで、細部にこだわっているのが伝わる逸品だ。これらのメニューは、テレビ西日本やRKBなどのメディアで紹介されたこともあり、話題の新店として知られている。しかし席数の少なさが良い意味で秘密の場所の雰囲気を保っているため、大型チェーン店のような混雑には無縁だ。
実は喫茶カヤは、昼だけの場所ではない。カウンターの奥にはウイスキーや焼酎などのアルコール類も揃っており、夜間営業時には純喫茶から一変して、気軽な大人の社交の場へと変わる。仕事帰りに立ち寄って、気心知れた店主と軽く一杯──そんな使い方も十分に可能だ。金土の夜間営業(12時〜22時)は特に、新しい出会いが生まれやすい時間帯でもある。
警固エリアは赤坂や大名といった商業地とは異なり、閑静な住宅街の雰囲気が強い。喫茶カヤへのアクセスは赤坂駅から徒歩約10分。警固本通りをゆっくり歩きながら周辺を散策するのがおすすめだ。このエリアには他にも個性的な飲食店が点在しており、警固本通りを軸にした街歩きコースとして楽しめる。朝10時にオープンするため、モーニングとしての利用も可能だ。一方、訪問の際には定休日が不定であるため、事前にSNSで営業状況を確認することをおすすめする。人気店であっても、座席が限られているために予約制や待機列が生じることはほぼないが、営業日の確認は必須だ。
純喫茶の新しい形を体験したい、あるいは福岡の街歩きの合間に静かな時間を過ごしたい──そんな時間の過ごし方を求めるなら、喫茶カヤは確実にあなたの期待に応えてくれる場所だ。赤坂駅より徒歩約10分。