薬院の閑静な街並みに静かに佇むLULUは、フランス・ボルドー発祥の焼き菓子「カヌレ」を極めた小さなカフェだ。一見すると控えめな外観だが、毎朝丁寧に焼き上げられるカヌレの香りが漂う店内には、この菓子の虜になった常連客が足繁く通う。カヌレとは、銅型で焼いた外側のカリカリとした食感と、バニラとラム酒が香るしっとりもっちりとした内部のコントラストが最大の特徴。しかしLULUのカヌレは、この複雑な食感表現をさらに高次なレベルで実現させている。素材選びから焼き加減まで、職人的なこだわりが詰まった一品であり、一口かじれば店主の手仕事の丁寧さと完成度が即座に伝わってくるだろう。
看板商品のカヌレは日替わりで複数の風味が揃うのが特徴だ。定番のバニラ系はもちろん、季節限定の抹茶やチョコレート、フルーツを使ったバリエーションが登場することもあり、何度訪れても新しい発見がある。春には桜風味、夏は柑橘系、秋は栗やさつまいも、冬はシナモンやジンジャーなど、季節の移ろいを食で表現する店主の創意工夫が随所に感じられる。ここでぜひ試してほしいのは、出来立てのカヌレとコーヒーのペアリングだ。店では焙煎度合いが異なる数種類のコーヒーから自分の好みを選べるようになっており、浅煎りから深煎りまでのチョイスが可能。カヌレの繊細な香りをより一層引き立てられるコーヒーを見つけることで、味わい方の幅が大きく広がる。
店内はこぢんまりとした空間で、シンプルで清潔感のある内装が特徴。白を基調とした壁面に焼き菓子を並べるディスプレイは、洗練されつつも親しみやすい雰囲気を醸し出しており、ひとりでも気兼ねなく入りやすい落ち着いた空間になっている。テーブル席でゆっくり味わうのも良いが、地元民の間では、テイクアウトして薬院周辺の公園で食べるという楽しみ方が定番化しているという。特に薬院中央公園まで足を延ばし、緑の中でカヌレを頬張る時間は、都会の喧騒を忘れさせてくれる。薬院大通周辺は古本屋やギャラリー、穴場的な飲食店が点在する散策スポットで、その中継地点としてLULUを訪れるのも理想的な楽しみ方だ。朝の散歩でLULUに寄ってカヌレを調達し、そのまま大通沿いの店舗を巡る、という流れが地元民に好まれている。
訪問のコツは開店直後の朝8時~9時を狙うこと。焼きたてのカヌレが最も香り高く、売り切れのリスクも低い。午後には品切れになることも珍しくないため、確実に手に入れたければ朝の時間帯がおすすめだ。営業日や商品のラインアップについては事前に確認するのが賢明である。中程度の価格帯ながら、丁寧な手仕事が反映された一品を味わえることを考えると、コストパフォーマンスも十分に優れている。
最寄駅は地下鉄七隈線の薬院大通駅で、徒歩3分でアクセスできる。